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AF-2を全面禁止させたのは、外形的には科学者と市民の共闘によってかち取られた偉大な勝利であるけれども、Z-フラン以来の二〇年のあいだに私たちが未来に向けて受けた打撃は致命的なものといわなければならない。だが、私たちにそのような打撃を与えた敵はただ一歩を後退させただけで、「食品公害のしくみ」はそのまま温存されている。彼らが再び私たちやその子孫に向けて凶叉をふるわないように、私たちはその息の根を止めるための第二の戦いに立ち上がらなければならない。
いまこそ、市民戦線の担い手の一人ひとりがどのような戦略をあみ出し、いかに戦うかが問われているのである。
だが、「食品公害のしくみ」は食品添加物だけにあるのではないことも考えておかなければならない。(「第二版の序に代えて――AF-2反対闘争に想う」より)
目次
第二版の序にかえて
はじめに
第一章 豆腐屋さんの奇病
那須野が原の怪 Aさん夫妻のこと 入院中に知りあった人たち Bさんのその後 Cさんのその後 二人に共通なこと アクリル樹脂工場での事故
第二章 AF-2(トフロン)裁判はじまる
ある日の新聞のニュース 起訴にいたるまで 鑑定証言をひきうける 文献調査のやり方 害作用文献に驚く 鑑定書の骨ぐみ
第三章 遺伝子を狂わせるAF-12
環境のなかにふえる変異原 環境変異原研究会の活動 AF-2は強い変異原 ニトロフラン化合物と放射能
第四章 AF-2はどのように審議されたか
その申請当時のこと 食品行政のたどった道 「公定書注解」に企業の手が AF-2審議の記録 そこで何が討論されたか データなしで安全量決まる 使用基準を決める AF-2をめぐる人の動き
第五章 AF-2の実験から何がいえるか
権威の衣のかげにあるもの FAO/WHOの水準との比較 鑑定証言への反論 〝批判する権利なし〟 〝注意義務なし〟 〝○・〇一二五%添加は無作用量〟である AF-2は生き残れるか
第六章 AF-2事件とは何であったか
事件を見る正しい視点 それは虚偽の風説だったか 現実となった心配 食品行政はだれのものか AF-2許すまじ
むすび
付録I AF-2実験の解析(詳細略)
Ⅱ〈資料〉食品衛生調査会において調査審議を行なう際の基準
Ⅲ〈資料〉食品添加物としての安全性確認試験法
(抜粋)食品添加物に関するFAO/WHO合同専門委員会第二報告一九五七年