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一九七四年の冬、私に学習院大学で比較政治の講義を分担する機会が与えられた。この本はそのときの原稿を基にし、その後の事態とそれについての研究とをふまえて加筆したものである。
この本は、西欧の政治社会の問題と動態とに関する一応の観念が得られるようにしたつもりであるが、現実を反映してか、第四部を拡大したにもかかわらず、書き終ってみて、変化の面の梢造的な叙述が不充分ではなかったかと思う。付録として掲げた二つの論文が、幾分かこの欠点を補ってくれよう。
(あとがき」より)
この本が出てから五年を経過し、叙述を全面的にup to date にすることにした(中略)。改訂に際して、全体の頁数をなるべく増さないようにし(中略)大きな改訂はしなかった。ただ、第三部、第八講の〈補論〉は全面的に書き直した。第四部については、各講の末尾を、過去五年の推移を織込んで、書換えた。(「第二版に寄せて」より)
目次
開講 政治研究における比較の視座
一 政治現象/二 政治現象の観察/三 比較の視座
第一部 近代西欧政治社会の発展
第二講 近代化とその課題
一 近代化の途/二 国民国家とその民主化
第三講 近代化の徹底としての社会化
一 ソーシァリズムの近代的特質/二 共産主義と社会民主主義との対立/〈補論〉 アメリカのニュー・ディール
第四講 近代化に対する反動
一 ファシズムの脅威/二 ファシズムとの対決/〈補論〉 福祉国家の発想
第二部 現代西欧政治社会の状況
第五講 管理社会の到来
一 都市化の問題/二 ビュロクラシーの優越/三 疎外と大衆化
第六講 社会成層の流動化
一 労働者層の変貌/二 中間層の拡大/三 エリートの変容/〈補論〉 知識人の問題/四 社会的地位による動員
第七講 未解放集団の覚醒
一 世代の多層化と青年/二 女性の解放/三 人種差別の撤廃
第三部 現代西欧政治社会の政治過程
第八講 政治集団の展開と配置(詳細略)
第九講 政治の集団過程と公衆(詳細略)
第十講 政治思潮と政治運動(詳細略)
第四部 西欧諸国の政治動向
第十一講 アメリカ――多数派の混迷と再編(詳細略)
第十二講 イギリス――二党制の動揺(詳細略)
第十三講 西ドイツ――中道を競う政党制(詳細略)
第十四講 フランス――両連合対抗の推移(詳細略)
終講 西欧政治社会の行手
一 「緊張緩和」と「保革伯仲」/二 デモクラシーの能力
付録(略)
あとがき
第二版に寄せて