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本書は過去数年間に、筆者が暗中模索の状態で書きつづってきたいくつかの論文を集めたものである。暗中模索の産物である以上、それほど歯切れのよい結論などあろうはずがない。教育問題は本来、誰でもが発言することができる領域であり、またそうでなければならない領域だと、筆者は考えている。教育の問題は決して、一部の教育専門家といわれる人々の内部だけで決定されるべき性格の領域ではないし、またそんなことは不可能である。最終的な決定権、選択権はすべて一人一人の市民がにぎっているのであり、教育専門家は、これらの市民がより合理的な決定なり、選択ができるように、判断材料を提供することである。(「あとがき」より)
目次
Ⅰ 過密社会の高校
1 過密社会のなかの高校教育
一 高校に近づく人口の大波
二 高校人口の地域格差
三 高校大幅増設の必要性
四 増設と地方財政
五 推計の根拠
2 教育費格差と教育機会
一 高校拡張における私
二 拡大する授業料格差
三 教育機会における階層差
3 高校の義務教育化は可能か
Ⅱ 大学拡張の曲り角
1 大学拡張のもたらしたもの
一 高等教育拡張の曲り角
二 大学入学者の所得階層
三 教育費負担の問題
2 大卒者の職業構造
一 大卒者の職業構造の変化
二 産業社会の変貌と大卒者の雇用
三 学歴の経済的効用
3 高等教育政策をめぐって
一 大卒過剰時代の大学政策
二 学歴要求と大学政策
あとがき