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民主主義に立脚した前向きの政教関係を設定することは、重要な国民的課題であるにもかかわらず、数年来の事態は、靖国神社国営化を突破口とする国家神道復活運動の激化、宗教団体と自由民主党およぴ民社党の癒着、宗教団体との事実上の一体性を保持しつづけている公明党の党勢拡大、創価学会と日本共産党による合意協定の締結等、政教分離を脅やかす危機的状況を深めつつある。現代の日本社会における宗教と政治の問題は、緊急で重要な実践的課題でありながら、その理論的解明が、なお大きく立ち遅れていることは否定できない。本書が、この空白を克服するために、いささかでも役立つことができれば、著者としてこのうえない喜ぴである。
なお本書に収めた論稿のほとんどは、近年に発表した論文に加筆訂正を加えたもの(中略)である。
目次
序 論――現代日本の宗教と政治
I 近代天皇制と宗教
一 国家神道
1 国家神道の確立
2 国家神道の制度と思想
3 天皇制ファシズムと国家神道
二 宗教弾圧の系譜
三 治安維持法下の宗教
1 第二次大本教事件
2 第二次ほんみち事件
3 創価教育学会事件
Ⅱ 戦後民主主義と宗教
一 民主化と宗教
1 信教の自由
2 民主化と教団再編成
3 新宗教の進出
4 反動勢力と宗教平和運動
二 高度成長期の宗教
1 国家神道復活の動き
2 安保体制と宗教
3 創価学会の政治進出
Ⅲ 現代日本の宗教問題
一 国家神道の復活
1 伊勢神宮神体の復権
2 靖国神社法の本質
二 宗教団体と政党
Ⅳ 信教の自由と政教分離―日本とヨーロッパ
一 宗教から見た日本とヨーロッパ
1 現代日本の宗教問題
2 北欧と中欧――社会主義国、新教国、政教分離国
3 南欧――カトリック国、ギリシア正教国
二 ソ連における信教の自由
あとがき