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最近、その種の地震で、噴火と何らかの因果関係があるのではないかと思われる例が改めて指摘されるようになった。その背景に、近年の。フレート・テクトニクス仮説あるいは、広がる海底説がある。大陸および大洋の岩石藤(リソスフェア)の運動学的帰結から、地震と火山噴火の間にも、その因果関係の存在が指摘されるようになってきた。
日本の地質関係者の重要な課題の一つは、陸上地質と海底地質の関係から島弧の特徴を明らかにすることにある。島弧に沿う大地震と島弧に特徴的なマグマ活動、噴火との関係の検討はこの点に寄与するものと思われる。いわゆる「地震屋」とも「火山屋」ともいえない筆者が、長年携わってきた海底の地質構造の解明のために噴火、地震現象を解析するのもそのためである。また、著者の関心が海城の巨大地震にかたよりがちになるのも「海屋」のなせるわざと御賢察願えれば幸いと思とう。(「プロローグ」より)
目次
プロローグ
第一章 噴火と地震
1 噴火と地震は関係あるか?
2 火山性地震
3 噴火・地震の関係を示すメカニズム
第二章 構造線と大地震
1 大地震は繰り返す
2 寺田寅彦の大地震発生説
3 三原山震源説
4 相模構造線
5 糸魚川―相模線
6 フィリピン海プレートと大地震
第三章 相模トラフ型地震と噴火
1 大島噴火と大地震
2 三宅島と大島
3 マグマの昇降
第四章 伊豆大島三原山
1 火孔調査の手がかり
2 火山三原山
3 噴人のくせ
4 噴火輪廻
第五章 火孔底調査
1 マグマを汲む
2 観察を続ける
3 ラジコン・ヘリ
4 上昇した人孔底
第六章 噴火と地震の時間・空間関係
1 日本列島
2 アリューシャンおよびクリル弧
3 島弧の噴火―地震関連メカニズム
第七章 世界の大地震と噴火
1 中・南米地域
2 フィリピンおよびモルッカ諸島地域
3 メラネシア地域
4 トンガ―ニュージーランド地域
5 インドネシア地域
6 地中海地域
7 北大西洋地域
第八章 噴火相互の関係
1 噴火の系統的ずれ
2 噴火の同時性
第九章 噴火と地震の語るもの
1 噴火および地震予知研究の現状
2 相棋トラフ型・南海トラフ型地震
3 富士山噴火
4 直下型地震
文献および引用について
エピローグ