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本書は中国や朝鮮の仏教について記述したものでありながら、あえて『日本仏教のふるさと』と題したのは、日本仏教に対して裏面から照明を加え、その特質を浮きぼりにせんがためである。本書の構成は三章からなる。
本書の各章では、儀礼、歴史、思想と異なった分野をあつかったために、読者はそれぞれ関心のある章からお読み頂ければ幸いである。。三章それぞれのテーマは異なっているが、そのねらいは共通している。すなわち本書の第一章で、同じ中国仏教圏に属する中国。朝鮮。日本仏教の儀礼や慣行についての相違点を、第二章では、その歴史的形成をたどりながら、歴史的には朝鮮仏教も日本仏教も同じく中国仏教を母胎としている同質性、共通性を、第二章では、同じく中国仏教を母胎としながら、朝鮮仏教と日本仏教とはその思想面においてもかなり異なっていること、すなわち相違性を明らかにしたのである。
従来、日本仏教のふるさとは中国仏教と考えられてきたのであるが、本書の意図するところは日本仏教と中国仏教との間に朝鮮仏教を介在させることによって、中国仏教圏内部の相違性を明らかにするにある。私の問題意識は同じ中国仏教の影響下にある朝鮮仏教と日本仏教とを比較することによって、より日本仏教の特質を鮮明にすることにある。さらにいえば韓国と日本とが、仏教を受容し定着させるにあたって、どのように中国仏教を変容させたかを究明するのが私のねらいである。(「序」より)
目次
序
東アジア仏教地図
第一章 東アジア 仏教の旅
一 中国の寺院を訪ねて
二 韓国の寺院を訪ねて
三 東アジアの仏教儀礼
第二章 海を渡る漢訳大蔵経
一 中国仏教の成立
二 仏教の朝鮮伝播
三 日本仏教との交流
第三章 変容する禅の思想
一 中国禅の大地性
二 朝鮮禅の綜合性
三 日本禅の純粋性
東アジア仏教史年表