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日本とアメリカは、多くの後始末を分け合っています。(中略)最も不幸なことに、無能化、死、道路交通事故、就職の困難、離婚そして暴力犯罪と深く関連するアルコール濫用問題が深刻であり、これがさらに大きくなって行くことでも共通しています。この本の内容の大半は、アメリカ社会に対すると同様に日本の社会にも当てはまるでしょう。『アルコール症――隠された薬物問題』の日本語版が、貴方の国で専門家、政治家、ジャーナリスト、そして一般大衆が、タバコや他の薬物と同様のアルコールの危険性について理解される助けになることを希望します。そしてアルコールという薬物に対する興味を低下させ、役に立つものとの考えを抑え、依存を減少させる強い努力を期待します。(「日本の読者へ」より)
フォート氏は反骨精神に満ちた一風変わった人物であり、本書の至るところにそれが現われている。本書のねらいとするところは著者自身による序文にあるように、アルコールが大問題をおこしている危険な薬物であることを認識させ、社会における「必要性」を減少させようというものである。
フォート式に言えば「誤った選択をした人」に入るのかもしれないが、アルコール乱用に陥ることなく酒を楽しむことのできる人が少なからず存在するのは事実である。しかし、それらについてあとがきの中で触れるのは原著者の意図に明らかに反するので、巻末の「日本語による参考文献」の中に、その点を考慮したものを含めておくに止めることにする(「日本の現状」でも少し述べたつもりである)。この本にそうした点で不満を感じた方は参照していただきたい。(「訳者あとがき」より)
目次
日本の読者ヘ
序
第一章 アルコールも薬の一種
薬とは何か?/薬物乱用・アルコール症者・アルコール症/嗜癖の二大要素/禁断症状(離脱症状)/どや街に果てる/アルコールによるビジョン、効能/催淫剤ではない/酒を飲むペースは社会が決める/事実を伝えること
第二章 体内でのアルコールの作用
飲み物―薬物としてのアルコール/毒物としてのアルコール/アルコールの精神に及ぼす作用/酩酊の度合いを左右する因子/体内でのアルコール/アルコールと薬剤
第三章 アルコールとその規制の歴史(詳細略)
第四章 アルコールとその他の薬物をめぐる現状(詳細略)
第五章 酒を飲む人、飲まない人、アルコール症になる人(詳細略)
第六章 身体的依存性のある薬物―アルコールとその乱用(詳細略)
第七章 アルコール症の治療(詳細略)
第八章 究極的な解決法― 教育と予防(詳細略)
監修者あとがき
訳者あとがき
参考文献
精神状態を変えるために用いられる主な物質の比較一覧