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「信頼と協調」の労使関係の存在――これこそが日本経済の活力の源泉であるという認識は、おそらく正しいものといってよいであろう。だが、ここで問われなければならないのは、そこにおける労働組合のありようである。日本の労働組合は、はたして言葉の真の意味で「健全」であるかどうかということである。
この書物のなかで私が検討しようとしている問題は、まさにこの点にかかわっている。
いま、日本の労働組合はその労働組合としてのあり方を根底から見直すことを求められているのではなかろうか。
この書物は、一九七六年から七八年にかけて執筆した主として時論的な論稿をとりまとめて編集したものである(初出一覧は、巻末にかかげてあるので、参照されたい)。(「まえがき」より)
目次
まえがき
労働組合思想の危機――日本
Ⅰ 労働組合運動の展開
一 総評の転換と全労の生成
二 春闘の形成と職場闘争の瓦解
三 春闘体制の定着と労働戦線の再編成
Ⅱ 春闘の思想と職場闘争論
一 春闘構想の登場と〝職場闘争〟論
二 三池における職場闘争と「草案」の限界
三 春闘体制の定着と総評「組織方針」
Ⅲ 〝国益〟と労働組合
一 七七春闘の示したもの
二 〝国益〟思想の浸潤
三 〝私生活型合理主義〟と労働組合運動
Ⅳ 「社会契約」的労働運動と国民春闘
一 資本の春闘戦略とその思想
二 日本型所得政策と「社会契約」的労働運動
三 四団体共闘と国民春闘の苦悶
む す び
〝社会契約〟をめぐる対抗――イギリス
Ⅴ 〝社会契約〟 の登場
一 〝社会契約〟への胎動
二 〝社会契約〟の成立とその困難
三 〝社会契約〟の展開
四 〝産業民主主義〟への新たな胎動
五 〝産業民主主義〟の現実化の方向
Ⅵ 〝社会契約〟の頓挫の意味するもの
一 所得政策第二段階への始動
二 ランク・アンド・ファイルの反抗
三 大組合の背反と第二段階の不成立
四 〝社会契約〟の頓挫の意味するもの