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われわれが本書で扱ってきた対人場面の心理は、傍らに他の人がいることで生じる影響の対象が自己観か対人態度か対人関係かという側面と、影響の心理的内容がかかわる次元は活動性か評価性か力性かという側面との組合せによって分析しうるのではないかと思われる。このような影響の対象と内容との両側面を組み合せたところで生じる対人場面の心理的特徴分析の視点は(中略)九次元のものとなるであろう。
これら九次元であらゆる視点を含みうるか否かは問題であるが、少なくともこれらは対人場面の心理的特徴を知るのに役立つ視点といえるのではないかと考える。本書の冒頭の部分「はじめに]で述べた釣人と見物人との間で生じる対人場面の例を、この九次元の分析視点からもう一度振り返ってみていただきたいと思う。(「おわりに」より)
目次
しがき
はじめに
I 傍らに他の人がいることの自己への影響
1 自己意識への影響 a 傍らの他者からの情報/b 刺激としての他者の存在
2 仕事の成績への影響 a 傍らの他者に評価される懸念/b 傍らの他者による妨害の効果
3 プライパシーヘの影響 a 傍らの他者による私的領域への侵入/b 傍らの他者への自己の表明
4 責任の感じ方への影響 a 傍らの他者への責任の分散/b 傍らの他者への責任の顕在化
5 まとめ
Ⅱ 傍らにいる他者への対人態度
6 印象形成から対人態度ヘ a 傍らの他者の印象/ b 傍らの他者への接し方
7 傍らの他者との同質感と異質感 a 傍らの他者への同質的態度/b 傍らの他者への異質的態度
8 傍らの他者への受容感と拒否感 a 傍らの他者への受容的態度/b 傍らの他者への拒否的態度
9 傍らの他者への優越感と従属感 a 傍らの他者への優越的態度/b 傍らの他者への従属的態度
10 まとめ
Ⅲ 傍らの他者との相互関係
11 傍らの他者との影響の授受/12 協同的関係と競争的関係/13 友好的関係と敵対的関係/14 上下の関係と対等の関係/15 まとめ
おわりに
付録
1 自意識尺度/2 自己開示尺度/3 内部制御―外部制御型尺度/4 独自性尺度/5 マキャヴェリアニズム尺度
引用文献一覧
事項索引