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授業の中の子どもの思考過程を徹底的に分析してみたい――こういう考えを持つ研究者や実践家は多いと思う。しかし、現実にはこれはなかなか難しい。それは、一つの授業というものを構成している要因はほとんど無数にあり、それらが複雑にからみ合っており、一回限りの、まったく同じことを三度と再現することができない、一種のドラマを授業は形づくるからである。
しかし、私たちはこのほとんど不可能と思えることに挑戦してきた。
こう考えるに至った背景としては、何と言っても最近の認知科学の発展がある。
まずは同じ大学の、同じ教育学部に所属する若手研究者同士で語り合おうということで、私たちは月一回程度の研究会を開くことにした。(中略)「本の形にする」という方向がまとまり(中略)ともかくここに発表できるものになったのである。(「はしがき」より)
目次
はしがき
I 子どもが表現するとき
一 丹羽徳子氏の実践から 子どもが作文を「書く」まで/「書く」ことのインパクト
二 子どもにとって作文とは何なのか 作文指導の定式化/「過去形で書く」とは/表現の意識化/作文の社会・文化的背景
三 討論(詳細略)
Ⅱ 子どもの納得世界を探る
一 算数教育はうまくいっているのか 算数ぎらいの増加/「意味を考えない」算数/有能な「路上算数」/知識の領域固有性/二つの「活動」間の転移/大学生の「学力」/「教授・学生数の比率問題」/生活的知識の「部分的活用」/疑似理解を越えて
二 討論(詳細略)
三 算数が「わかる」ということ ランパート実践/三つの納得世界/納得世界の結びつき/ランパート実践の概要/ランパート実践の意義
四 討論(詳細略)
Ⅲ 子どもが生きる授業
一 授業観察による学習過程の研究 授業観察の方針/授業全体の流れ/第一時限目の内容
二 学習過程モデルの再検討 学習過程モデル/注意集中の過程/モデルや理論を作り上げる過程/モデル・理論の試用、比較、修正の過程/次の学習に向かって開かれていく過程
三 討論(詳細略)
Ⅳ 授業で子どもの信念を変えることは可能
一 仮説実験授業「ばねと力」の授業過程 素材選択の方針/「ばねやものに加わる力」の問題/予想を出しあう/討論のはじまり/意見変更者続出/自説をまげない上野さん/「力の原理」を使った批判/二つの誤りの合成による見かけ上の正解/即興の実験で確かめを
二 授業の評価と問題点 すばらしい討論/三つの論点
三 討論(詳細略)
〈追記〉
注
実践者のコメント