※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
改革のブーム現象は、すべてのブームがそうであるようにやがて終憶の時をむかえ、改革熱は冷めるかも知れません。しかし問われているのが大学、高等教育の基本的な理念や構造である以上、それによって変革の必要性、必然性までもが消えうせるわけではありません。ブームとかかわりなく、個々の大学と、そこを宿り場としている大学人は、変革を問いかけられ、また自ら問い返していかざるをえないのです。そしてこの本で試みてみたいと思っているのは、そうした問い直しの作業に必要な問題点の整理と、提示に他なりません。(「はしがき」より)
目次
はしがき
第一部 大学の変革をめざして
1章 大学改革―― いまなぜ必要か 改革への気運/学生・教員・学問/高等教育システムの変動/国際化と生涯学習化/中等教育との接点/(以下略)
2章 大学評価―― このさけがたいもの 大学審議会の答申/ヨーロッパの大学とチャーター/アクレディテーション制度/大学の設置認可/一般教育と専門教育/学部教育と学問体系/大学評価の三タイプ/内部評価・自己点検/何のための大学評価か
3章 内部組織――学部・講座制のゆくえ 二〇年を振り返る/大学の内部組織/学部と講座制/「デパートメント」の問題/「四六答申」の問題提起/臨教審答申と大学審答申/未解決の問題/教育研究と管理運営
4章 大学入試――学力はなぜ重要か 世界の入試/入試制度の歴史/アメリカの独自性/日本の入試制度/戦後の改革/入学者選抜の基本的条件/選抜基準の多様化
第二部 大学変革への課題
1章 大学再考―― マス高等教育論を読み直す マス高等教育のディレンマ/教育と研究/一般学生と一般教育/大学の「内部組織」/一元的な組織構造/残された問い
2章 後継者養成―― かくされた危機 後継者か大学教員か/供給源の多様化/大学院の問題/職業としての大学教員/閉鎖的な市場/競争と報酬/冬の時代か
3章 学部教育――新しい姿を求めて トロウ再読/保守的な反応/教育と研究の組織 /一般教育・専門教育/組織原理の転換か/日本型の模索へ
4章 入学者選抜――多様化を批判する 多様化の現実/実施時期と受験準備/冷却の失敗/マイナスの効果/イクセレンスの危機
5章 自己評価――個人的な体験 自己点検・評価ブーム/「自己点検」のねらい/教員の自己評価/改革と自己点検/大学の一体感/「社会」の視線
6章 活性化――大学はよみがえるか 競争と報償と/プラスの報償システム/「若い血」を/教育の活性化/「教育」の軽視
7章 展望――高等教育の未来 五つの変動要因/競争の時代/構造の変動/多様化の時代
初出一覧