話題のシスター・バイオレンスアクション『ババヤガの夜』の著者が放つ傑作小説集。
父親が死んだという連絡がある。母親は三十年以上前に父と離婚してから、まったく没交渉だった人間だ。葬式を準備する私と母の顔には、「めんどうくさい」という字がくっきり刻まれている(「かたす・ほかす・ふてる」)。
誰にも同情されず、注目もされず、生きる営みを淡々鬱々と続ける人々の心を照らすものとは? 孤独な現代人の心を揺さぶる「ダイバーシティ」ファミリー小説五編。
こんな風に書かれる主人公たちが心底羨ましい。理屈じゃなくて、肌触りが好き。独り占めしたいから読まないでください!
―尾崎世界観(シンガーソングライター・小説家)
全編、順番を付けられないくらい好きです。そして、どのお話にでてくる人も好きです。
共に生きられなくても、あなたを生かしてくれるひとはいるのだよ、と王谷さんが語りかけてくれるようでした。
―町田そのこ(作家)
これはあなたの話であり、わたしの話であり、あなたのすぐ隣で生きているひとの話だ。
―永井玲衣 (哲学者・作家)
つながりは言葉のまえに、そこにあって、じぶんの家族も、本当は名付けられないなにかだ。
本書は家族という最小の社会につけられた、無数の傷を愛そうとするこころみである。
―海猫沢めろん(作家)
この小説たちは、まさに現代の「人間喜劇」(19世紀の文豪バルザックの小説群)だ!―(担当編集)