『草の根の中国』(東京大学出版会、2019年、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『中国農村の現在』(中公新書、2024年、2025新書大賞13位)に続く、個性溢れる中国農村論。今回はインドやロシアとの比較を交えるなど更に広いパースペクティヴのもと、前二著とは異なる新たなテーマを切り拓く。混沌とする農村現場の徹底的な観察と分析を通じて、雑多な要素が複雑に絡み合い影響し合いながら織り成す一つの秩序=曼陀羅図を、浮き彫りにする。
【主要目次】
序 章 曼陀羅図としての農村
第Ⅰ部 農村ビジネスの郷土性
第1章 家族主義に埋め込まれた農村ビジネス――双水村のレンガ工場
第2章 道づくりとリーダーシップ
第3章 僻地の教育ビジネス――貴州石村の寄宿制学校
[フィールド・エピソード]豊城農村調査挫折記
第Ⅱ部 県域社会の文化心理
第4章 交叉地帯の構造
第5章 交叉地帯の文化心理
第6章 中国的「県域社会」の現在
[フィールド・エピソード]田舎の女と町の女
第Ⅲ部 比較のなかの中国農村
第7章 都市=農村間の人的環流――中国・ロシア比較
第8章 村落ガバナンスにみる公・共・私の交錯――中国・インド・ロシア比較
[フィールド・エピソード]中国研究者がロシアの農村で考えたこと
[フィールド・エピソード]中国研究者がインドの農村で考えたこと