育児、先生との思い出、寂庵のこと…
元秘書による寂聴先生没後初めての書き下ろし
瀬戸内寂聴先生からの愛と言葉を未来へつなぐ
「天台寺での『青空法話』」――
10年間濃い時間をともに過ごしてもまだ足りなくて、
もっともっといっしょにいたかった。
そう考えるだけでいつも涙が出る。
どこに行っても先生を感じる。
先生の笑顔が浮かんでくる。
私はいま、先生との思い出に生かされている。
「京都と寂聴先生」――
「先生、ここはどういうことですか?」
気軽に聞ける距離感に私はずっといたのに、
当時はあまりそれをせず、
いまとなって先生の姿を追い求めるようにして
作品を読みはじめている。
惜しい気持ちも否めないけれど、
これも不思議なさだめのように思う。
「愛の連鎖」――
私が受けた無条件の愛情が子どもたちにも伝わり、
そして未来へとつづいていくこと――
それこそが「愛の連鎖」なのだと思う。