ただただ好みなんです!星合先生の描かれる男性のルックスが。それだけで既に十分なのですが、これほどまで大勢の人物が出てくるシリーズもので力を振るわれていたのですね。
Vol.1にも収録の北欧の王国の花嫁シリーズ、これ本来は「サーガ」、で
すね? ヒストリカルものという位置付けよりも。
陰謀、神話、北欧という土地柄、こめられたもの数多くあるので、頁数の制約あったのなら、これを余すことなく描くなんてちょっときつかったかもですね。
1番目の収録作品、「誰でもない人」。邦題が秀逸です。好きな人の、別れも、結婚も、事故死も、全てが耐えられない悲しみ。暫くして、似てる人、当人としか思えない人の出現。お話世界にはよくある展開だけれど、その、定番的材料が使われていても、このコミックは、味わえます。
読み手の自分を恋愛気分に引っ張りこんでくれるラブラブモード全開の日々や、互いの人生の苦しみ、とにかく相手のところへと向かう想いの強さが胸に入り込んできます。
出会えたことと、ようやくたどり着いたこととに、困難を乗り越えても結ばれている気持ちの存在感が繋がる。エンディング周辺での、これまで頑張って試練を耐えてきたヒロインの気持ちが吐き出されたシーンは、心情に共感してしまいます。
最終盤、彼のこれまでが語られるところは胸にずしり来ました。恋愛の甘さがないシーンだけれども、二人の恋の最もかけがえのなさを示す、そして同時に、二人の恋路の最も過酷なところをヒロインと共に知らされ、思い通りに行かない人生に泣かされます。
ヒロインが、それを知って驚愕するシーンでしょうが、一緒に初めて知らされる読み手のこちらにも、衝撃です。
彼の側に立って読むと、再会の不安、それでもひと目でいいからなんとしてでも会いたい、隠さなければならなかった想い、そして親密になっていく過程での彼の嬉しさなどなど、想像してみると、また別の味わいができます。彼視点ではここの顔レビは涙涙以外にないでしょう。しかも、ヒロインの拒絶にも遭わされて。。。
そんなことがあるかといってしまえば、全てはそれまで。
いや、そんなことが起こってしまっても、この二人はまた相手に戻りたいと願い、その切なる願いを全うした、と、そんな風に感動できます。
少女漫画ではいまやってくれないところを、HQでは見ることができて、その点も、いい鉱脈を発見した気分です。
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