やつと初めて会ったのはもう8年も前になる。俺の年の離れた妹よりもさらに若く誰がこんな子供に大事な妹をくれてやるものかとそう思ったものだった。しかし俺の反対にも関わらず二人は結婚、そして最愛の妹の突然の死…。何もかもを失った喪失感,地獄のような悲しみに苛まれた俺を救ったのは憎むべき奴だった。共に過ごす時間が,急速に俺達の間を埋めていく。それはいつしか認めるわけにはいかない感情となってしまった。奴の唇が触れた瞬間泣きたいような気分になった。不安のあまり身体が震えだす。だがその舌先が触れると迷いは消えた―。