軽い気持ちで読みましたが、繊細な心情を伝えるテクニック、どんどん引き込まれるテンポの良さから、映画かドラマを観ているような気がしました。そして作品には透明感が漂います。初恋の人だった柊子さんが亡くなっていること、つば太が淡い気持ちをずっと引
きずっていること、そして何より柊子さんの娘のユヅコが持つ独特の透明感のせいかなと思います。ユヅコは美人で優等生で、つば太に好きだと伝えているのに、まだまだミステリアスで、その目には何が見えているのだろうと思わされます。柊子さんの遺言を全うしようと思うあまり、それに縛られ、全部を背負うつば太は、どんどん柊子さんに似てくるユヅコを前に壊れかけます。自分の気持ちが分からず、ユヅコや麹町くんも巻き込み、もがき苦しむ姿、この状況下での閉塞感には、見ているこちらも胸が苦しくなりました。それを打破する家族から見たつば太とユヅコの関係性。道が拓けたように感じました。読んで良かったと思える作品でした!
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