本筋はしっかりと描かれていると理解できた。しかし、HQの本質であるところの「愛」はかなりトキメキ薄くて心残りな感じがある。ヒーローもヒロインも一目で惹かれているところはそれらしく描かれているのだけれど、両者の物思いのメインはフルール中心すぎ
て歯がゆいが、だからといって子煩悩さを その優しさや ほのぼの感を十分に感じるほどでもない。それどころか、子供を奪われた苛立ちと、育てることの大変さばかりが 大きく伝わってくる。出会ってしまったのだから、子供だけで済まされないジレンマを、子供の愛らしさを、双方へ向けての「思いやり」で示してほしかったと思う。でなければ、どちらの感情も私には伝わってこない。従姉の行動には 自分本位なものが分かるだけに、きっと彼女は子供を保身アイテムとしたに違いなくて、そこにヒーローとヒロインの共通の想いを色濃く見せてもらいたかった。すれ違いの事象はフルールの実父鑑定に委ねられているわけだから、そこを見せればいいのではないかと考えるから。フルールの父親は誰なのか、その真実はヒーローとヒロインをどう導くのか、一様答えは出されているが、どちらも中途半端でしこりの残るものだった。
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