依然として最も有名な「源氏物語」の漫画といえば「あさきゆめみし」なのでしょうが、以前から私はあの作品だと紫の上が可愛い感じで、明石の上の方が美人に見えてしまうのが不満だったので。その点、この作品では、桐壺更衣とか、藤壺女御とか紫の上達が、文
句なしに美女、という感じになっていたので大満足です。そして光源氏も女性達も、本当にいろいろとセクシーです。姿や描写など。というか、この作品の場合は、艶っぽいとか、優艶とか呼んだ方が相応しいですね。私の中で「源氏物語」の艶っぽさを、見事にビジュアルとして表現しているという点では、これ以上の作品はないと思います。
また、解釈に関しても、六条御息所の夫である前東宮は、本当に病気で天皇になれなかったのか?右大臣や弘徽殿女御一族の謀略によるものではないのか?という可能性も匂わせており、けして優雅な恋物語だけではない、「源氏物語」の政治的謀略的な部分についても描かれているのも、興味深いです。そして実際にも、六条御息所の夫である前東宮が天皇になれなかった理由については、そういうような感じの見方もあるようです。
それから、寺社に参拝する女性が「懸守」というのを首からかけている場合、その女性を襲ってはならないというような習慣があったとかいうのも、勉強になりました。
やはり、牧美也子の「源氏物語」、ぜひ最終巻まで描いて欲しかったです。そこが残念です。
光源氏の晩年からは、妻の女三宮の柏木との密通、そして紫の上の病と死など、全体的に暗い感じになっていくせいでしょうか?
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