漫画でいえば銀魂に代表されるような、本来作者によるサービスコーナーであるはずのメタ表現がメインになりかねないほど、こってこてのメタ作品が好きな自分にはたまらない、メタBLの玉手箱がここにありました(涙)。
こちらのアンソロジー、いに
しえの腐女子であられた作者さま達による、いにしえのBLを懐古して令和のBL規制の下、思いっきりいにしえのBLにツッコミを入れると共に、令和のBLを斬るといった、作品さま達もノリノリで描いた珠玉の作品が集まっています。いやー、確かに一種のファンタジーであるBLと作品世界を俯瞰して現実に引き戻すメタ表現は相性が良くないはずで、最初からギャグとして使うお約束が確立していないと使えないはず。そのお約束が確立しているアンソロのためか、作者さまが楽しんで描いているのが読み手にも伝わる熱量の高さが嬉しい限りです。
自分の性癖に一番刺さったのは、明美先生の「スパダリが抱く愛の檻」。先生による「いにしえBL豆知識」が最近BLにハマった初心者にも親切で、「あ〜読みホで読んだいにしえのBLはこの文法にのっとって作られたのか」と納得。内容も、いにしえのスパダリがオークションで受けちゃんを競り落としたが、思っていたのと違う受けが来て、お約束と違う予想外の展開に…。その中に修正規制を逆手に取ったギャグをぶっ込む荒技が冴えてます…。多分今まで読んだBLの中で一番笑いました…。受けが最強なのが最高です…。あまりに好み過ぎて、その後明美先生の同作品収録の単行本も買ったのですが、やっぱりこのアンソロのお約束の中で読むのが一番良さが伝わると悟りました(どんだけ好きやねん。正味10頁)。
また、akabeko先生による修正とその隠された部分についての新旧比較、星名あんじ先生による世紀末におけるバドエン作品の醍醐味、腕島子先生によるイラストを文通のように交換していた思い出などのエッセイや、巻末の作者さま達の一コマ後書きも同人誌チックでいにしえのBLに対する嬉し恥ずかしさに溢れてて、その存在を身近に感じることができます。
竹書房のセールのときにクーポンも使って購入。メタい作品やいにしえのBLファンの方、また日頃見慣れたBLと一味違ったBLを読みたい気分の皆さま、おススメでございます☆総280頁
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