おそらく、作者はこの主人公の、一見女性とも見紛うような美男なのに、冷酷無比な香港マフィアのボスであるという、この龍水星という主人公が描きたくて、この話を作ったんだろうなと思うのですが。しかし、どうもそちらの気持ちの方が先走りし過ぎて、彼を執
拗に追い求め続ける、日本人女性の心理に、無理があり過ぎると思うのですが。
普通、娼婦にまで堕されて、それきり何年もの間、一度も思い出されもしなかったら、女性はその男性のことを憎みこそすれ、けして愛したりはできないと思うのですが。
確かに龍の悪い男としての魅力は、描けてはいるとは思うのですが。
それに、とうとう、龍と彼女がまだ、恋人になる一歩手前の感じで、話が終わってしまったのも、物足りなかったです。そして本当は作者自身も、どうももう少し、このシリーズの続きが、描きたかったような感じですが。
ただ、主人公の過去の話である、初恋の女性の刺青師?との、壮絶な愛憎は読み応えがありました。最後が悲劇なのも、この場合はいいと思います。
何より、やはりもう少し、このシリーズの続きを読んでみたかった。
今後も龍を巡って、次々と起こるであろうと思われる、香港の裏社会の抗争とか、おそらくそれも多分に関連して、二人が惹かれ合うようになっていく所とか、もう少し、読んでみたかった気がします。
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