童話「赤いろうそくと人魚」を連想させる、美しい鬱感のある物語です。灯台に幽閉された盲目の健気受けと、下男の無骨攻め、無体な本家の嫡男(サブ攻め)が織りなす愛憎劇。耽美で退廃的、時代情緒あふれる古風な世界観、独特の詩的な文体、仄暗い陰鬱な閉塞
感、どう抗ってもやるせない過酷な運命、痛く切ない中に滲む官能や甘さ…などこういった痛々しい雰囲気やストーリーが好きな方には堪らない設定がふんだんに盛り込まれてます。物語に引き込まれ、レトロなメロドラマ時代映画を見ていたかのような不思議な読後感を堪能できました。難を言うなら、時代小説風の純文学を意識した独特の文体や比喩的、詩的表現が多く普通のBLだと思うと読みにくさに閉口するかもしれません(その読みにくさが雰囲気づくりに一役買ってるので悪いとはいいきれないですが)。また受けや攻めが辛い思いをする、暗く重たいストーリーなので痛い話が苦手な方にも向いてません。こういった耽美で痛々しい時代BLはあまりないので、内容+希少性に☆4です。
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