一言で表すと、ある出来事に巻き込まれたことから、人間の肉を食らってのみ生きながらえることのできる喰種と呼ばれる存在になってしまった元人間の青年が、人間と喰種、本来相容れない両者の問題を克服しようと奮闘する話だと思います。
詳しく説明すると
ネタバレになるので言えないのですが、本作の主人公は、他の主人公が人間から異形の存在になってしまう系の作品(青の祓魔師や広く言えば呪術廻戦等)と比べて一般人感が強いというか、精神性がただの文学青年ということもあって、初期はただただ彼の悲劇性が強調されたエピソードになっています。ですが、そこから彼が何を感じ、どう行動していくのかは、読者と同じ一般人である彼だからこそ、読者もとても共感できるようになっていて、気づけば自分も本作の世界に自然と入り込めている所が魅力ですね。
ただ、この作品のテーマは悲劇であり、そのテーマにそぐわぬストーリー展開がなされます。これは私見ですが、こういう登場人物に甘くはない世界観というのもリアリティがあるというか、我々読者が直面する現実とも親和性があって興味を惹きましたね。
ですので、世界観にどっぷり浸かれる、浸かりたい、もしくは登場人物に感情移入をしやすいという人にはぜひおすすめです。
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