今時珍しい古臭い長屋で住人たちが関わる色々な形や人生を色濃く描くオムニバスストーリー。 長屋ものとか 学生の下宿物とかは 住人同士の恋愛がもつれたりなんだりというケース物が多くて 余り好きではなかったんですが これはそういった作風ではなく
色々な事情を大人が抱えていることを自然に描写している感じです。孤独な生い立ちのなかで 双子の妹が生んだ娘の悲しい現状を憂いて 何とかしようとする「子別れ」は 読んでいて重かったけれど 秀作です。 ソライ先生の売れない研究生活を 豆腐屋さんとして 売り歩いた最後に毎日寄ってはお豆腐を置いていく、というささやかでも優しい行為を続けてきた七生君のお話も どこか可愛らしかったですね。 大人が安心して読めるオムニバスですよ。
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