策士と策士… 歪んだ執着愛ですね。両親を失くした兄弟2人。男に体を売って生活費を稼ぐ兄を横目で見ながら、汚い泥の中で咲く蓮の様に兄の唯一の希望として「自慢の弟」を演じる秋生。兄が酷い目に遭っても何人もの男達に抱かれても構わない。いや、むしろ
もっと汚れてしまえと思っている。最後、泥の中に堕ちて誰も触らなくなっなら優しく抱いて自分だけのものに出来るから… 兄が全うに生きようとするのは喜べないし、恋愛なんて許さない。けれど流石に手は出せないから代わりに女とSEXするという中々の拗らせよう。一線を越えてしまい離れた時期もあったけれど、泥の中に一緒に沈んで2人なりの幸せのカタチを見付けたならそれでいい… こう言う結末もありね、と思った所にエピローグの衝撃!ネタバレ無しで読むのをオススメしますので、未読の方はお控え下さい。→ 昔の客に弟と寝ている事を蔑まれて仕返しとばかりに、弟の気持ち行い全て承知の上で知らないフリをして犯されて嬉しかったと驚愕の告白をする。嗚呼、ゾワゾワが止まらない!これ迄の行為には全て意味があったとして読み返すと兄の策略が恐ろしい。想いに気付きながらも兄としての自覚と理性、現実の生活があり自制心が働く。だから自らが禁断の果実となり、時には蛇となって弟を惑わす。思春期の年頃の弟にあらゆる性的行為を目の当たりにさせ、揺さぶって性の対象として強烈な印象を与える。いくら好きでも実の兄弟、一線は越えられない鬱積した関係がお互いの執着心を増大させたのだろう。そして長い年月をかけて膨らんだ欲望を爆発させ、理性の壁をぶち破る嫉妬と激情を与え 犯させる。それは恋愛関係。兄弟では築けない、叶わない関係… 体を売って育てた事、その兄を犯した罪悪感を刷り込み、最後は弓を引かせて「狩らせる」したたかさ。あぁ、冒頭 客が言った「潜在的に似ていたりして」の言葉が後から響く。一方で意地悪く言うと、30近くになってウリの需要も減ってきた頃に再会し、生活も金も弟も欲しいものを全て手に入れた。投資分を回収したと言うか、体を張ったハイリスク・ハイリターンの人生ゲームに勝利した様にも見えるが、数年後 心も体も成熟した男になった秋生に優しく抱かれ愛されて、離れられなくなるのは… と思ってしまう。 腹の奥のドス黒いものは泥の中に沈めて、見える所は美しく咲いていればいい。見せたいものを見せて、見たいものだけ見ればいい…
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