ライオネルという男には、死ぬまで手放せなかった女ジェシカがいた。家庭とは別に愛する女と出会ってしまった。家庭には妻と息子1人。息子はリュークといった。
そのリュークには婚約者が居て物語は始まる。名はイザベル。
冒頭でリューク編の女主
人公はシーリアと判らせる紹介から、この話はHQの性質上、婚約の行方は想像出来てしまう。
「女神の誤算」「仮面のラブゲーム」の二本立て。
前者はリュークとシーリアがメインキャラ。後者はイザベルと、結婚式の写真を依頼された写真家レイフ。
このセットの一作目は、父子二代が夫々愛する人に出会った話。こうした経過を嫌悪する人はこのストーリーは向かない。買わない方がいいだろう。
私は、白か黒かで割り切れぬのが浮き世だと思っているため、純粋に、ままならぬ世の男と女の在り方を考えさせられた。
そして、父子二代に掛けて父の念が通った気もしたし、シーリアには非はなかった筋立てから、息子リュークが自ら婚約者との縁談が進行中にも関わらず恋愛に落ちることによる、その恋愛感情を通じて真の恋とはどんなものかを知る、という構成にして、父の不義への捉え方が変わる作り方を、楽しんだ。
きっちりと話は罪深さに応じて罰を下してあって。
二作目はイザベルがその経験則から本能的に警戒するタイプの典型であるレイフに、センチメンタルジャーニーを持ちかける趣向で物語は語られていく。二人はイザベルの結婚式2週間前に出会ったのだった。互いに心ひかれたものの、将来の無い恋に身を投じる勇気は彼女はもう持ち合わせてはいなかった。
だが、心地よい夢のひとときのなか、氷の仮面の奥の彼女を知ったレイフは彼女との日々の継続を望む。
段々と詰めが入り、最後のチェックメイトは、氷の女王のドラマとしては、女性冥利に尽きる、と、私は思った。
高井先生の絵は、女性はアンニュイな感じがあり、「いい女」と信じ込ませる絵が多いように思っていたが、強がってる女の脆さ弱さをこの作品で味わえて良かった。
男性は元から、つかみどころが無かったり、実力者で常識人だったり、魅力的な人物像を描いてくれる頼もしい腕前。時々軽く流すように描かれた気がすることがあるにはあるが。とあるBLノベル(多分作画担当された表紙を見ただけで未読だから確信はない)のたった一枚の絵にすら片鱗がバッチリ明らかなほど、画風は男性を描いた絵の方で人目を引く。
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