好きになった人が見えないかとキャンパス中を探して回ったという思い出語りのくだり、心の底から共感できるのでまずそこでポイント高し。
彼もまた、気に入っていたからいつもヒロインの目に留まるような所に出没しただの、今にして語る当時の涙ぐましく気
を引こうとした話も、同じにポイント高し。
そして、同じ建築家同士、仕事のプライドや情熱、いいものはいいと思う公平な視点や、コンペで相手を傷つけたくない為に考える互いへの思いやり、それらがしっかり描かれている。嘘臭さがない。これは、HQ標準仕様の絵空事レベルを突き抜けている。
出来レース、それを覆すべく動くヒロインと、ヒロインがどれだけ否定しても消えなかった恋の炎の相手の見事なカウンターオファー、それらの筋立てが良くできている。
ストーリーの展開が見事。
絵柄が全てにおいて104頁のヒロインのようであったなら、と思わずにはいられない。終始主人公とは思えぬサブキャラのような軽さを感じていた。
それにも増して、彼が、ヒロインが大学時代憧れたほどにはかっこよく見えない。艶というか、華が足りないというか。
ある種のコンプレックスから、キラキラがなくても仕方がないが、主人公の思い人である前に、学校の人気者設定の前提は納得させてほしい。もちろん、二人とも一介の建築家として生きているだけで、美男美女を強調した様なところなくいたため、絵にゴージャスさは不要なのだが、主役級のキャラには、相応の光り方が要求されてると思っている。
ただし、イケメンを外見で表すのでなく、内面は、ヒロインへの引け目や遠慮を抜きにすれば数々のエピソードでイケメン。
それから、121-122頁は、二人の感情の真実や、相手に対峙して正直になることで高揚する場面として、二人の関係進化が表れている。
このシーンあったれぱこそ、レビューの星の数が定まった。
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