卑屈の一歩手間“謙虚”になんとか踏み留まっている感じのモブ子こと田中信子が恋をしたのはバイト仲間の誠実な入江。恋愛初心者二人の日常を描いた良作です。初期はモブ子の習性を解説するスタンスで描かれていましたが、最近は恋愛ものへとシフトチェンジした感じですね。とはいえ恋のペースは今時珍しいレベルの超スロー。半歩レベルでちょっとずつ関係を深めていく姿がとても愛おしいです。なかなか進展しない二人ですが、周囲も暖かく親切で、嫌な邪魔が入ったり邪推や嫉妬で関係が後退することもないので安心して読み進められます。ごく普通の恋をこれだけ魅力的なストーリーに仕立てる作者の力量を感じられる作品です。