レビューが高評価で短編とは思えない作品との評価に読んでみたくなり購入。うん。確かに。47ページにしては奥行きあり、まとまっています。しかし題材がいいだけに、物足りなさが否めません。もっと長編で読みたかったという多数の意見に賛成。
絵が綺麗。主人公ふたりは見惚れる程の美しさ。眼福〜。
ヒロイン(公爵令嬢)は誰にかけられたかも不明な呪いで、余命1年宣告を受けます。ヒーロー(第二王子)を思いやり婚約解消を申し出ますが、拒否されます。
ヒーロー、言葉が足りな過ぎる。婚約解消を受け付けない理由の言い草も酷い。
ヒロインは理不尽さに自暴自棄になることもなく、ひたすら控え目。ヒーロー(第二王子)が、第一王子の婚約者(別派閥公爵令嬢)を密かに慕っていると誤信している為、堂々と愛を乞えないのです。体調悪化が進んでも、気遣わせまいと無事を装い、善行をし、ついに力尽きます。花に囲まれて安置されるヒロインの哀れで美しいこと…思わず泣けてきます。結末はハッピーエンドでめでたし、めでたしなのですが、突っ込みどころも山積します。
個人的に一番不自然なのは、どうしてヒーローが素直に自分の愛を伝えなかったのか?実際は愛の無言実行なのですが、愛する女性の余命が限られるという重い状況で、あの素っ気なさを貫く説得力に欠けます。
例えば、主人公ふたりと幼馴染み男子がいて、ヒロインとその男子が相愛と思えるのだが、男子が病を得て療養生活に追い込まれ、その隙に王族と高位貴族の政略の婚約が成立してしまい、快癒の可能性のある男子を慮り、第二王子が素直に求愛出来ないとか…双方の誤信がないとバランスが悪い気がします。
呪いの犯人は身勝手かつ残酷な所業ですし、断罪がどうなされたかも知りたいところです。
残された1年の先のない幸せに包まれながら、双方苦しむ切なさをもっと描写出来そうですし。
見せ所の多い設定なので、短編では勿体ない。見せ所が限られるのに、無理に伸ばして、読むのを脱落させられる作品だって多いのですから。長編で改めて出して貰える事を期待します。ちなみにその際はヒロインの衣装がもっと華やかですと、なお良いです。