「エースをねらえ!」は超絶面白いが、本作がなかったら世に出たかどうか。本作の「『スマッシュ』ヒット」あったればこそ、エースをねらえ!の企画は通過出来たと思うのだ。タイトルさえ影響を感じられる。
実写化ドラマで幼い頃TV放送に釘付けとなり、どれだけテニスに憧れを抱いたことか。幼かったのに主題歌も一部覚えているほどだ。
しかし、原作が志賀公江先生の漫画原作だと後で知っても、当時は書店の在庫の回転が早く全巻揃っていなかった。そのため、完読の見込薄く、コミックスは遂に買わなかった。
今、読み放題の書籍リストに発見、この絶好のチャンスを逃す訳にはいかないと思った。それほど念願の漫画だった。
読み出すと、記憶にあるテレビ番組(確か紀比呂子さん主演)は、割と原作に沿っていることに本当に驚いている。
漫画原作のドラマはかなり失望することが多かったから。(後年大脚本家となった先生でも、少女マンガの脚色物は、私が十代の頃は原作へのリスペクトが殆ど感じられなかった)
ドラマの原作との違いへのこだわりを脇に置いて、このストーリーの面白さは、当時の漫画では異色だったように思う。
あの時代は、美人のキャラは環境に恵まれながら先輩風を吹かし結構意地悪だとのマンネリが散見されたが、本作はそれがない。
エースをねらえ!の、お蝶夫人の、出現前だから、影響を与えなかったとは考えにくい。
志賀先生は当時抜群のストーリーテラーだったので、たった一冊に進むドラマ量の多いこと!
今と違ってコマが一つ一つ小さいために、現代の「劇」画仕立てよりもっとこま切れ進行ながら、スパッと切り取っているのでスピード感溢れる。
それなのに鮮やかに人の感情やその時々のイベントが収まっている。
私は、絵が今風でないことをマイナス評価しないので(それを言ったら、今の作品は、今しか読まないことになるし、作風は、作家の数だけ多様なのを、歓迎)この星数で。
当時流行りの魔球・変化球の類は、いつも私にはスポーツのルールを逸脱しているように思えて微妙。
そこ残念。
「無我の境地」とか、真琴の粗削りな才能に『可能性が無限」だと思う所など、後続漫画の礎を築いた。
当時のスポーツの空気、アマチュアリズム礼賛と、プロ化の是非とが出てる。
さおり、ひろみ、そして今をときめく「なおみ」さん、三文字平仮名の名前を取り上げているレビューをブログで発見し笑った。