家のことがのしかかり結婚に至らなかった良家の子女。家の没落を止めるため、意に沿わぬ結婚をしようと、誰のことも好ましく思えないのに、なんとか探そうと。
この苦しさは詳述されているが、初恋が彼と気持ちが通じ合っていながら、結婚に至らなかったと
ころがバランスがとれていないと感じた。彼の母親が猛反対。それは説明されている。しかし、初恋のこの破れかたで先が失くなったのなら、彼のこのストーリーでのヒロインとの絡みかたと、チグハグ感が結構してしまう。二人にとってそれほどまでに大きかった一方で、結局は乗り越えられなかった二人。読むほどに、不可解さが増す。
これで、次の 「ふさわしき妻は」では、シンジンが受けたセアラの結婚によるショックが掘り下げられるのだから、「意外な求婚者」でセアラとニコラスへの納得感を一応導かれたのに、再び相当長い間置いてけぼりを覚えることになる。
尤も、その「ふさわしき妻は」で、最終的にはセアラとのことを頭の極く一部にそっとしまって置いて、新たな始まりが紛れもない幸福が待っていることを力強く期待出来るのだが。
ニコラス視点描写の比重からすると、上述したように「意外性」は無し。セアラにとって「意外な」のだ。
そしてニコラス視点多い割に意外にも、事実として他の女とは、表面的やり取りだけで済ませている。
精算が遅れたとはいえ、身辺整理きっちりだ。然るにセアラはーーー、とそこが私の最大のニコラス同情票の源泉になっている。
2作セットで読んだが、既読記録に単品にもレビューを挙げておく。
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