クリーニング白洋舎の創業者、五十嵐健治氏の生涯を、三浦綾子さんが五十嵐氏ご本人の語り口調で書いた物語です。養子に出された幼年時代、養母や生母への思慕、一攫千金を夢見て放浪した少年時代、ロシアに渡ろうとして騙されて売られたタコ部屋からの脱走、
北海道の地で再び出会ったキリスト教と入信、三越への入社と独立して開業した洗濯業、命を落としかけたドライクリーニングの開発。柔らかな語り口で紡がれる波瀾万丈の人生と、キリスト教信仰に基づいた企業経営の道のりに、時間をたつのも忘れて没入してしまいました。同時に、当時の大事件(日清戦争や日露戦争、世界大戦など)を、当時の人々がどう捉えていたかがよくわかり、英雄も時代を正確には捉えられないのだということが身に染みて感じられました。近代史の勉強にもなりおすすめです。
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