能力も気位も高い若い女医を、医療界の権威者とその仲間が調教し服従させるというスジ。この設定に対しては何も言うところはないが、いかんせん文章遣いに粗さが目立つ。藍川女史も中期以降の作品であれば、本来あり得ないシチュエーションを滑らかな文体にく
るんで説得力を持たせるのだが、本作は初期作品の例にもれず、フィクションがフィクションのままであり、今ひとつ物語の世界に入っていけなかった、というのが正直なところ。二十五歳のヒロインの人物描写も明瞭さを欠き、キャラが確立されていないため、揺れ動く当人の心情が伝わってこない。女医という分野は特に男性読者の関心をひくテーマだけに、もう少し後年になって女史が採り上げていたら、と惜しまれる。まあ、気高い女性を屈服させるという暴力的な展開はその方面の嗜好をお持ちの方々には満足できるであろう。が、特に偏った趣味のない皆様には・・・読んでてキツいかも。
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