■あらすじ:
沖縄から長野県諏訪市の高校へ転校してきたばかりの、高校三年生。早朝から、野球部の練習に明け暮れる千明サン。その甲斐あって、野球部ではエースの座を手に入れたばかりか、夏の甲子園でも注目を浴びる投手となった。そんなサンの部屋に上がり込み、眠っているサンの顔をのぞき込んでいた、同級生の清水美穂。二人の、夏が始まる。
■著者コメント:
表紙を見ただけで、本書の内容が想像でき、楽しめます。ストーリーとは関係ありませんが、以下のような読み物であってくれたらと思います。本屋の書棚やウェブサイトの書籍の片隅に、自分が、かつて読んで心に残っている本が、かすかにまだ影を留めているのを知ると、すごく嬉しい気持ちになります。その本の良さが受け継がれていくことに、共感と安心感を感じます。逆に、もうどこの書棚や書籍にもその本が見あたらない場合、少しさみしい気持ちに陥りますが、しかしそれはそれで、自分だけが宝を得たような、ひそかな喜びにもなります。このささやかな物語がそんな本であればと願います。