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高齢になるにつれ、かむ力、飲み込む力は少しずつ低下してきます。今まで普通に食べられていたものが食べられなくなってしまったという人は少なくありません。食べることは生きるためのエネルギー源であり、おいしいと感じることは人生の楽しみのひとつです。いつまでも口から食べられるということは、高齢者の生活の質を高く保つうえで欠かせません。また、飲食物や唾が気管に入ってしまう“誤嚥”は、誤嚥性肺炎の原因になり、免疫力の落ちた人にとっては命とりにもなります。事実、がんや脳卒中ほど注目はされないものの、誤嚥性肺炎が多くの日本人の命を奪っているのです。本書は、食べ物を噛みきる、咀嚼する、飲み込むことが難しくなってきた人と、食事介助をする家族のために、具体的なノウハウを紹介する本です。第1章には、「生野菜を切り方で食べやすくする」「とろみや油で口あたりよくする」「焼き魚の身がパサつかない工夫をする」「ひき肉を口の中でばらけにくくする」「飲み物でむせないようにする」といった、実際の介護食づくりの現場で活用されている実践的な方法が満載です。第2章では、嚥下体操や義歯のケア、むせにくい食事の体勢、認知症の方への食事介助術等を紹介しています。イラスト:根本ひろみ 撮影:鈴木正美 主婦と生活社刊