本書は、元・共同通信経済部記者であり森林インストラクターでもある著者が訪ねた、日本全国の12の森のルポです。
国土の約7割が森林に覆われている日本は、世界でもトップクラスの森林国です。また、日本列島は南北に長く、多様な気候・地形が、北から南まで個性のある森を育んでいます。
これらの森の傍らには、常に「人」の姿があります。太古の昔から、日本人は森と暮らし、森の恩恵を受けて命をつないできました。
日本の森の60%は天然の森ですが、人との関わりを持たない、いわゆる「手付かずの森」はほとんどありません。
日本人の暮らしから森の姿が消えつつある今だから知っておきたい、日本の森の多様性、そして人との関わりの歴史を取材した一冊です。
「ブナ、10万年の彷徨 北から南へ、そしてまた北へ」北海道黒松内・北限のブナの森
「厳冬の季節風が巻き起こす砂嵐、植えても植えても枯れる辛苦の400年」山形県・庄内海岸砂防林
「豪雪の山で生き抜く人と植物たちのしたたかな知恵」福島県・奥会津源流の森
「冬の豪雪と夏の霧、離島が育んだ知られざる神秘の森」新潟県佐渡島・新潟大学演習林
「屋久島をはるかに凌ぐ巨大スギ群、謎に満ちた生態」富山県立山・稜線を覆うタテヤマスギの森
「埋没林が語る巨木伝説、太古の森はなぜ海底に沈んだのか」富山県・魚津洞杉の森
「標高1500mの稀有な高層台地に秘められた300年伐採の歴史」長野県松本市・上高地の森
「フィリピン海プレートが運んできた大地」静岡県伊豆半島・天城山の森
「宗教と国家権力に翻弄されながら今に続く森」滋賀県・比叡山延暦寺の森
「神鹿降臨に始まる神の山は、シカの食害で衰退の危機」奈良県・春日山原始林
「南限のトウヒ白骨林が教えてくれるのは、人災か自然現象か」紀伊半島・大台ヶ原の森
「汽水域に生きる不思議の樹木たち」沖縄県西表島・マングローブの森
※米倉久邦
1942年東京生まれ。68年早稲田大学大学院卒、共同通信社に入社、ワシントン特派員、
経済部長、ニュースセンター長、論説委員長などを経て、現在はフリージャーナリスト。高校・大学時代より山に親しむ中で、「森」への関心を強め、57歳で森林インストラクターの資格をとる。日本山岳会会員、森林インストラクター、東京スキー山岳会会員。
著書:『森をゆく―「人と森のかかわり」を訪ねて』『そうだ、山へ登ろう! - 森林インストラクターになっちゃった』六十歳から百名山』他