此の小説の作者は、ラジオドラマやゲームシナリオやマンガ原案を書いていたそうです。ゲームや漫画の場合は映像や漫画に起こす前の詳しい筋や場面描写が必要なので、小説単体の作品と然したる違いはないと考えられます。ラジオドラマに関しても、聴く人が理解
できるように、場面の情景や登場人物の話し言葉にかなりの説明と工夫は必要ですが、此のどれもが、小説と完全に一線を画す事柄があります。其れは、放送時間や掲載ページ数の設定には限りがあるということです。小説も作者自身には規定のページ数が要求されていますが、読者には制限時間がありません。
此の小説では、各章毎にまるでテレビのドラマを見ているように、登場人物が行動して問題が解決して其々一時間以内に患者の問題点が解決するように感じられるのです。
主人公の長閑春彦や看護師の友近蘭子、久留麻蓮二は未だいいにしても、高校生が活躍し過ぎて白けました。
読み始めて直ぐに、読みにくくて詰まらないと思って、一章だけを読んで一先ず読むのを止めました。気を取り直して、読み続けて最後まで読みましたが、残りの二冊はもう読むつもりはありません。
作者は自分が書いたものなので、自信もあるでしょうし面白いと考えているでしょう。けれども、書き終えた後で一度読者の立場になって読み始めて欲しいと思います。
表紙の絵の構図と音楽という点に釣られましたが、若し、試し読みがあったなら絶対に買わなかったと思うので、此れからは、試し読みできない本は買わないことにしました。
最後に此れは重要なことなので付け加えておきます。何度も懲りずに浮気を繰り返す高校生の田中を重要な役どころ持ってきてはいけません。顔が良くても勉強ができても、人として誠実でない者は付き合うのに値しません。好きだからという気持ちは何時かは醒めます。配役の誤りです。いい加減な役どころを作ってしまってはいけないのです。浮気性の人間が更生することはないので、後々酷い目に遭うのが目に見えています。準主人公をそんな設定にしてはいけないのです。
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