1937年6月1日、新潮社から刊行された太宰治の第二著作集です。師匠の佐藤春夫に命名された「虚構の彷徨」は「道化の華」「狂言の神」「虚構の春」で構成される三部作。「虚構の春」では友人・知人からの手紙をコラージュし、「ダス・ゲマイネ」では「太宰治とかいうわかい作家」を登場させるなど、前衛的な創作手法に挑戦しています。ITmedia 名作文庫では新潮社版を底本に、巻頭に解説「俗っぽさに賭ける痛切な青春」(北条一浩)を収録しました。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。
目次:
虚構の彷徨
道化の華
狂言の神
虚構の春
ダス・ゲマイネ
著者・解説者紹介
著者について:
1909年6月、青森県北津軽郡金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東京帝国大学仏文科中退。1935年「逆行」が第一回芥川賞候補になる。1936年第一創作集『晩年』刊行。以後、「女生徒」「斜陽」「人間失格」等著作多数。1948年6月没。