その声を聞くと、無条件に身体の力が抜ける。
その腕に抱かれると、無防備な子供のようになってしまう。
きみには、そういう人が、いる?
俺には、いるよ。
大手広告代理店で働く和泉東五は自身が同性愛者であることに対してコンプレックスを抱え、そのため恋愛に対しても積極的にはなれずにいた。
ある日、上司に連れられて訪れたイタリアンレストランでコックの花月宝と出会う。
コックコートの捲られた袖から出ている白い腕。一目で恋に落ちてしまう東五だが……
「どうしよう。出会ってしまった。
どうしよう。この、白い腕が、欲しい」