幼い頃に離れ離れになった双子弟の死の知らせを受けた兄・千樫と弟と同棲していた芸術家・東原のお話、千樫視点でお話が進みます。
冒頭、死んだ弟の身代わりを頼まれるところはあまりにも千樫に対して酷すぎやしないか?と憤りに近い感情を持ちました。が
、読み進めるとそんな気持ちを打ち消すくらい千樫の心情描写に引き込まれ気づけば好きな作品に。
双子故の苦悩や罪悪感に蝕まれていく千樫が痛々しく、双子故に結ばれた縁に感謝する千樫が愛しいです。もちろん、千樫だけではなく東原が密かに抱えていた想いも腑に落ちました。
千樫がずっと抱えていた弟へのやるせない気持ちに対して東原が応えた優しさに心が温かくなります。とにかく2人の心情が丁寧に描かれているお話、派手さはなくしっとりしている作品でした。
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