先生オススメ『黒曜の災厄は愛を導く』で受け視点、『黒曜に導かれて〜』で攻め視点でのストーリー展開の順番で読んで良かったです。出来事やその時々のセリフなど記憶が鮮明なうちに読むと、分かっていたつもりだったお互いの気持ちが、より確かなものとして
実感できました。それ故に「恋は盲目と言うけど、相手の真意が見えないどころか自分の立ち位置まで見失って、完全迷子状態になっちゃってる…」と、あまりのすれ違いっぷりが見事でした。「すれ違い」って、恋愛ものならBLに限らずよくあるパターンだと思います。でも、今作の「すれ違い」は、BLならではの男同士だからこそあり得る展開が見ものです。側近の言う「憧れ」発言が刺激的なスパイスになっていました。あとは、視点転換の話にありがちな、同じシーン・セリフの繰り返しにそれぞれの心情を書き足した、いわゆる重複作品ではないのも高評価のポイントです。これはコレでレンドルフの物語としてしっかりした骨子があり、読み応えがありました。秋人のバックグラウンドも辛いものがありましたが、レンドルフも負けず劣らずで辛苦の人生があって、そんな二人にこそ幸せになってほしいと思いました。あとがきを読んで…春夏編の『金緑の〜』後半に今作の元となった話が入っているそうです。というか、『金緑の〜』に入っている話の完全版(修正・書き足しなどされたもの)が『黒曜に導かれて〜』なのだそうです。確認しましたら、確かに同じものが入っていました。これから購入を検討する方は注意して下さい。
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