この作者さんは現代の一般人設定だとありふれた筆致であまりパッとしません(あくまで個人的感想です)が、こういう特殊な、好みが別れそうな設定ものは上手だと思います。
このお話では大正という様々な主義志向が混在する雑然とした時代に、生きるために
足掻く者、命を遂しても己を全うするもの、時代に胡座をかく者。翻弄されて道を見誤る者。様々な男の葛藤と生き様が詰め込まれていました。
少女と成人の狭間で両親を亡くしたヒロインは、まだ稚くじゃじゃ馬で、他人に対して表面的な判断しかできず、愛や恋の本質も知らない、ある意味純粋な女学生。
そんな彼女の保護者になった隻眼の男は、隠した過去の後ろめたさに苦悩しながらも、17歳になったヒロインに手を出してしまう。
主人公たちに家族がいないせいか恋愛的な背徳感はあまり感じられないですが、重苦しい時代物背景が楽しめて、歳の差ものが好きな方にはオススメできると思います。
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