藍川京作品愛読者のやなぎやこ、ここでは本アンソロジーに収録されている「今夜は感じすぎるの」についてレビューします。
主人公は過去に短期ながら水商売のバイト経験のある人妻。その当時客として来店していた男との再会を契機にロマンスが展開される。
初めての不倫に躊躇いながらも男のリードにより徐々に禁断の領域に足を踏み入れていくストーリー運びの達者ぶりは本作でも健在で、メインの絡みの描写もなかなか工夫が凝らされていて宜しい。道ならぬ関係に揺れ動く女心の記述が丁寧であり、プレイ描写も濃密で、藍川氏の作品で頻出する「ねっとり」と表現される筆致がいかんなく発揮されている。本短編に限れば星4つとしたいところだが、アンソロジー全体の評価となると、各著者の作風も読者の嗜好も広がるためニュートラルとさせていただいた。
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