自称フリーライターと刑事が、共通の敵を倒すため協同し関係を深めていくストーリー。本命の敵との戦いは次巻以降に持ち越された形で、この巻は主要人物のお披露目といった感。いわゆる、「感情表現を排除し、情景の客観的な描写に徹する」というハードボイル
ドのセオリーに則った筆致によって、強い男同士という輪郭がきちんと浮き彫りになっている。その一方で、(ハードボイルドであろうとするがゆえに)互いに相手になぜ惹かれるかの「心情」が描かれないまま二人が体を重ね続けるので、シーンとしての妖しさはあっても、彼らの肉体が繊細に感じているはずの快楽まではこちらに迫ってこなくて、もどかしい。話の全貌が未だ、小山田先生が描く素晴らしい表紙絵のようにおぼろな薄闇の中、特捜の桐山にはくっきりとした色を感じられ、楽しみ。
もっとみる▼