こちら表紙もタイトルもすんごく可愛くていいんですが、ちょっと損してるかなと思います。表紙イメージからふわふわ甘いお話で、可愛い子オメガがアルファに甘やかされたりしちゃうのかなと軽い気持ちで読み始めたらとんでもなかったです。そこには自分を叱咤
し、奮い立たせながら仕事に燃えるオメガがいました。
ストーリーは少数派であるオメガに対する差別や苦しみの根本原因について真正面から切り込んだ真摯なもので、読み応えがあります。何より愛らしいウサ耳が、ただの可愛いだけのアイテムじゃなかったのが衝撃でした。獣耳の捉え方がすごいです。
海野幸先生の作品は好きなものが多いのですが、この作品は特に胸に響きました。とは言っても堅苦しさはなく、理人に共感して泣いたり嬉しくなったりしながら楽しんで読めます。頑張るオメガに寄り添う器の大きな男も目眩がするような包容力で最高でした。読後は心が軽くなって清々しい思いがする素晴らしい作品でした。
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