《男目線》の落語評論があったっていいじゃねぇか!
落語てなぁ、江戸の富裕な町人の「男文化」のなかで生まれ、
昭和の頃だって寄席では男客が多かった。
いまじゃ女性客のほうが多いが。いけないなんて言いません。
現代文化は女性が作る。
そんなことは百も承知。
落語の噺に関しては、だいたいの作品が男目線で
作られている。
男が作って男が演じ、男とわずかな女性が
聴いていたんだから、しょうがねえや。
それをいまの女性客に受けるように演じるのも
噺家の技だ。
女性にも面白い古典落語を穿ったアングルで論じてみらぁ。
落語評論の目的を次の3つとする。
(1)「落語をひろく世間一般に知らしめる」
(2)「落語家の芸の向上を促す」
(3)「評論を通じて自己表現を行う」。
要するに評論に自らの主張を入れてゆく。
さらには、落語評論を書くうえで留意すべきことは
「落語界のためになる」評論を書くこと、という意見。
五代目柳家つばめは『落語の世界』『創作落語論』の
なかで落語評論について述べている。
いずれも四十年前の本だ。
つばめは当時の演芸評論家たちに
「落語界のためになる評論をして欲しい」と言っている。
「皆が、よいと思っていたものを褒めるだけなら、
それは評判であって、評論というほどのもの
じゃないだろうと思う。「見識が欲しい」とも言う。
そこが重要だ。
「一般の人が見えない、何かを、評論家の優れた
洞察力によって大衆の前にむき出してみせる。
これが値打ちではないだろうか」
落語評論のキモはこれに尽きる。