なろう系の話は嫌いじゃないので割とよく読みますが、多くのものが「これはラノベ。だから、このなんちゃって小説の文でもいいんだ」と事前に自己暗示をかけないと楽しめないマンガのノベライズみたいな文章力の作家さんが多い印象です。でもこれは暗示をかけ
なくてもいい、ちゃんとした文章で作られている小説でした。まずそれだけでもポイント高い。始まりはありがちな断罪から入るストーリーで、前世はブラック企業勤めの日本人だった神子フロルが主人公です。フロルに対する王弟殿下シオンの執着が楽しめます。断罪した方のローラスとリリイのザマァがなかったのは残念ですが、それもまた許しと癒しの心のあるフロルらしいストーリー展開かもしれません。シオンがカッコよかったりワガママっぽかったりのギャップも好き。ベッドでも優しさとSっ気の入り混じるところがあって、ギャップを堪能できます。最後のS Sは兄王目線で、これがさらに物語に深みを与えています。すごくすてきなお話でした。
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