学校で教えてくる人生設計は、学業が優秀であれば選択肢は多いということ。正論だけれど、どんなことでも習得時期には期限があって、希望する人生を送るためには学業と並行して「何か」を学ばなければならない。それが、近道だから。どんな人生を希望するとし
ても その希望に見合う才能というのは誰しもが持ち得ているものではないのがジレンマだ。恵まれた環境にあっても手に入れたい人生(職業)はデパート経営ではないトレント。祖母に借金してもその揺るぎないバイタリティーで造園業で生きている。クロエも厳しい生活ではあるが学校へ通いながらデザイナーとしての職を得た。この二人が惹かれあわない訳はないと祖母の企みが起動する。先見の優れた祖母には舌を巻くが二人は術中にはまることとなる。面白い。その裏にはトレントをデパート経営に戻す企みだとは露知らず。トレントとトロイが双子だと知ったクロエの心情がとても現実的に書かれているのは好感が持てる。「お金」という現実に心揺れない人はまずいないだろう。それでも、自分の生きたい道で生きることを重視すれば、他人にとやかく言う権利はないことを自覚したクロエの潔さには降参する。そんな人生ロマンチックだということに羨ましく溜息が混じる。「お金」に泣く日が来ることになると誰もが予測するであろうからだ。
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