泣けちゃう、というシーンがある。その不意にやって来る「ウルッ」がよくわかる。夕日に圧倒され、訳もなく泣くヒロイン。涙で相手を動かそうという姑息な意図なし。
しかも、そのときの彼のリアクションが嫌じゃない。
彼は「可愛い」タイプ。媚売
りでなく笑顔がただ可愛いタイプなのだ。そこに動かされるヒロイン。これもよくわかる。笑顔に一瞬にしてやられてしまうことはある。かっこよさが身上のHQ男子に珍しい気がする。
二人は最高の夜を過ごす。素敵な彼に誘われたとき、その時限りの夢であっても彼女は彼とのひとときを選択する、その判断にも納得がいく。断る理由なんてない、夢と割切って飛び込んだ。そんなところがよく出ている。ヒロインにしてみれば彼は自分以外の女性にもきっとー、と思うから、純粋に彼の懐に居続けられない。
そこはアルゼンチン。
ただ、彼女にはミッションがあり、何しに来たかを忘れることは出来なかった。
彼の少年ぽさが狩野先生によって違和感なく描写されている。
NYでの「僕をひとりにする気?」は最強の殺し文句だったろう。何でそれを言う?、というようなシーンだ。それを言われて掴んできた手を振りほどけないだろう。「だめだ、帰さないよ」にも、内心読みながら、うっわー、と天を仰ぎたくなった。そこまで言ってくれる(好きな人から)なんて、もうダメ。年下?
子どもの存在を認めなかった、むしろ邪魔な位に思っていた最低の生物学上の父親は、一作目同様、いつの間にか極悪人レベルに落とされずに最晩年やっと親らしさを少しだけ見せる。この話は「許し」 が前面。余命幾ばくもない父親は、過去の罪業を息子の優しさにつけ込んで。弱ってる人間に悪態はつけない。
父親はどうしようもない自己中で、上昇志向・私利私欲の固まりの人物なのに、今は家族に恵まれて、まるで現実社会の不公平さを映しているかのよう。
タラントの娘フィオナは「ハンサム歓迎」へ宗旨変え。
日本も外国も考え方なんて同じなんだと痛感する。
現職米国大統領を思わせる父親の、歴代の女性の好みにもクスッと来る。子どもが美形で。
都会と田舎との対比もいずこも同じと感じる。「都会的な金儲け主義」に対するアンチテーゼに明確な主張がよい。
ヒロインが「アマードを守れて嬉しい」と会長の盾となった所も、彼とヒロインの位置がストーリーを通じて一貫していて、良くできていると思う。
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