激務で危険と隣合わせ、気力体力消耗の、最も大変そうな職業、警察官。彼らも「公務員」なのだな、と思うと同時に、崇高な使命感、一体どれだけの尊い献身が私たち市民に捧げられてるのか、と思うと、市民を守ってくれる警察官は間違いなく立派な人たちなのだ
ろうと思う。
その組織に、主人公は「でもしか」で就職、という新人の設定。
強い動機が無い彼女が、ガッチガチの体育会系組織で、体質的に無理が通される環境の下、フレッシュな視点から警察の仕事ってものに当たっていく。
読むこっちは驚きもハラハラもあって、彼らもホントは一人一人ごく普通の人間なのだという当たり前なのに見落としがちな点が(時にはガラの悪いくらいなオラオラ男性も棲息)、実はこの話の中心を貫いていて、守ってもらう立場の者としては大きい気付きだった。
警察の中のいろんなものが詰まった漫画で、重大事件や大事件ばかりがクローズアップされてないのがとてもいい。一握りのルックスのいいスターのようなヒーロー任せじゃない全員プレーヤーの話。ドラマ視聴から漫画に来たが、漫画のほうのブラック(会社と呼ばれてる)ぶりは強烈。ハラスメント描写も。平和な日常では決してなくて、緊張もブラックユーモアもあり、でも実に真剣な警察物ともいえる。
ただ最近或る通報したところ来てくれた女性警察官の挙動に多少不信の種を覚えた身としちゃ、頼れる藤部長のような方がリアルに欲しい。
まだ5巻読了段階だが、控え目な問題提起、でもとてつもなく論点の深いものが実は溢れてる(綺麗事でなく世の中の泥臭いヤミ的事象の感じが)作品なので、一旦レビューを挟んでおきたくなった。超超お勧め。「うちの会社」ねぇ。
各話の間に挟まれる絵に付く手書き文字が、知的でバランスが完璧、惚れ惚れ眺めてしまうほど美しい筆跡。
追記。
79話、川合の走りっぷりに泰三子先生の怪力炸裂。
笑いも多いが、15巻泣く。
本当によくぞ種があるなぁと感心してしまうくらい中身詰まってる。
泰三子先生は描くこと避けて来たけれどもどうしても描いておこうと思った話を最後の最後に持ってきた、ということだ。
17巻迄読了、「別章 アンボックス」を読みに行く。
ストックホルム症候群は有名、でもリマ症候群というを初めて知った。
横井係長の表情筋が死んだ経緯に胸が痛んだ。
個人が変わるのは簡単、組織を変えるのが幹部の仕事では?、に唸った。
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